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6話 彼の想いと、夏祭りの夜の葛藤

Author: みみっく
last update Last Updated: 2025-09-01 16:33:40

♢真夏の夜のゲームと密やかな視線

 時間はあっという間に過ぎ、外はすっかり暗くなっていた。悠真の部屋のカーテンは閉められ、ゲーム画面の光が、彼らの顔をぼんやりと照らす。夕食は、まどかが買ってきたピザとチキンで済ませた。部屋には、ジャンクフードの香ばしい匂いが漂っている。

 ひよりは、すっかりゲームに慣れてきたのか、コントローラーを握る手つきも軽やかになっていた。彼女が、敵を倒すたびに「やったー!」と嬉しそうな声を上げる。その声を聞くたびに、悠真の胸は温かくなる。

 煌とまどかのバトルは相変わらず白熱し、二人の叫び声が部屋中に響き渡る。凛音は、時折ゲームに参加し、冷静な判断で的確な指示を出す。そんな中、悠真は、皆の輪から少し離れた場所で、ひっそりとひよりを見つめていた。

 ひよりの白いTシャツの袖口から覗く、細くしなやかな腕。ゲームに夢中になっている彼女の表情は、無邪気で、まるで子供のようだった。しかし、そのTシャツの薄い生地の下に隠された、柔らかな胸の膨らみが、悠真の視線を釘付けにした。部屋の照明が薄暗いこともあり、彼の視線は、誰にも気づかれることはないだろう。彼の股間は、静かに熱を帯び始めていた。

 煌が、ひよりに何か話しかけようとして、彼女の腕に触れた。その瞬間、悠真の胸の奥に、チクリと鋭い痛みが走る。嫉妬だ。自分でも驚くほどの感情の揺れに、悠真は目を閉じた。煌とひよりが楽しそうに笑い合う声が、彼の耳に届く。その声が、悠真の心を締め付けた。

 ゲームの休憩中、ひよりが喉の渇きを訴えた。悠真は、すぐに立ち上がり、冷蔵庫から冷えた麦茶のピッチャーを取り出した。グラスに氷を入れ、麦茶を注ぐ。カラン、と涼やかな音が響いた。

「はい、ひより」

 悠真がグラスを差し出すと、ひよりは驚いたように顔を上げた。

「あ、ありがとう、風間くん!助かるよ!」

 ひよりが、グラスを受け取ろうと手を伸ばす。その指先が、悠真の指に、かすかに触れた。ひんやりとしたグラスの感触と、ひよりの柔らかな指先の感触が、悠真の全身に電流を走らせる。彼の視線が、ひよりの少し開いた唇に吸い寄せられた。その唇は、麦茶の雫で艶めき、彼を誘惑しているかのようだった。

 悠真は、自分の股間が、もう限界まで硬く膨らんでいるのを感じた。この部屋に皆がいるという状況が、彼の理性をかろうじて繋ぎ止めている。しかし、もし二人きりだったら、彼はどうしていただろうか。その想像が、悠真の全身を熱くさせた。

 ゲームが再開され、部屋には再び賑やかな声が響き渡る。悠真は、皆と一緒にゲームをしているふりをしながらも、ひよりへの募る想いを、必死で胸の奥に押し込めていた。彼の視線は、何度も、ひよりの潤んだ瞳や、柔らかな胸元へと吸い寄せられてやまなかった。

♢夏祭りの夜と交錯する感情

 夏期講習が終わり、本格的な夏休みに入ったある日。悠真たちは、地元の小さな夏祭りに来ていた。提灯の柔らかな光が夜空を彩り、屋台からは香ばしい匂いが漂ってくる。浴衣姿のまどかやひよりは、普段とは違う雰囲気で、悠真の視線を惹きつけた。特に、淡い水色の浴衣を身につけたひよりは、祭りの賑わいの中でも一際輝いて見えた。

「ねぇ、みんな!あそこの金魚すくい、やってみない?」

 まどかが、楽しそうな声で指差した。煌はすぐに「お、いいな!」と賛同し、凛音も静かに頷いた。悠真は、ひよりの隣を歩きながら、彼女の浴衣の袖が触れるたびに、胸の奥がざわつくのを感じていた。

 金魚すくいの屋台に着くと、まどかが突然、楽しげな声で言った。

「そういえばさ、ひよりちゃんって、金魚すくい苦手だよね?前に言ってたもん!コウちゃんは上手だから、一緒にコツ教えてあげたらどうかな?」

 まどかの言葉に、ひよりは少し困ったように微笑んだ。

「え?私、本当に下手だから……コウくん、ごめんね、足引っ張っちゃうかも」

「大丈夫大丈夫!ひよりがそう言うなら、俺がちゃんと教えてやるって!任せとけよ!」

 煌は、ひよりの言葉を真に受けたのか、得意げに胸を張った。まどかは、そんな煌とひよりを見て、ふわりと柔らかな笑みを浮かべる。その視線は、一瞬だけ悠真に向けられたが、すぐに彼から逸らされた。悠真は、その一瞬の視線に、何か言葉にならない意図を感じ取ったような気がしたが、気のせいかと首を傾げた。

「じゃあ、私と悠真は、向こうの射的でも見てこようかな。射的も得意なんだよね、悠真?」

 まどかは、わざとらしく悠真に問いかけた。悠真は、金魚すくいの水槽の前に並ぶ煌とひよりの背中をちらりと見たが、まどかに促されるまま、射的の屋台の方へと向かった。煌が、ひよりの腰に手を回して、金魚すくいのポイの持ち方を教えているのが見えた。その距離の近さに、悠真の胸の奥が、ぎゅっと締め付けられた。

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